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睡眠不足が引き起こす健康リスクを実際の研究結果を交えて解説!

近年の研究から、睡眠時間が極端に短いと、さまざまな健康リスクが高まることが明らかになっています。

睡眠不足が続くと、肥満、高血圧、糖尿病、心疾患、脳血管疾患、認知症、うつ病など、深刻な病気を引き起こし兼ねません

本記事では、厚生労働省が公開している「健康作りのための睡眠ガイド2023」[文献1]を参考に、実際の研究データに基づいた健康リスクを紹介していこうと思います

睡眠時間が短いとリスクが高まる病気

睡眠時間が短いことは、さまざまな健康問題の発症リスクを高めることが近年の研究で確認されています。例えば、肥満[文献2, 3]、高血圧[文献2, 3]、糖尿病[文献2]、心疾患[文献2, 3]、脳血管疾患[文献3]、認知症[文献4]、うつ病[文献3]などの疾患は、睡眠時間が短い人々において有意にリスクが増加しています。

日本人の男性労働者約4万人を7年間追跡した調査[文献2]によると、睡眠時間が1日5時間未満の人は、5時間以上の睡眠を取る人と比べて、肥満になるリスクが1.13倍、メタボリックシンドロームの発症リスクが1.08倍に上昇することが報告されています。このことから、睡眠不足が体重増加や健康に影響を与える可能性があることがわかります。

また、別の研究[文献5]では、日本の男性労働者2,282人を対象に14年間追跡した結果、睡眠時間が6時間未満の人は、7〜8時間の睡眠を取る人と比べて、心筋梗塞や狭心症などの心血管疾患の発症リスクが4.95倍に増加することが示されています。睡眠時間が短いと、心血管系にも深刻な影響を与えることがわかります。

睡眠時間が短いと死亡リスクが高まるという報告[文献6]もあります。世界中の研究を系統的に集め、92万人分のデータを解析した結果、睡眠時間が6時間未満の場合、死亡リスクが有意に上昇することが明らかになっています。睡眠不足が命にかかわる重大な問題であることを示唆しています。

健康リスクを最小限に抑えるための最適な睡眠時間

複数の研究によると、生活習慣病やうつ病の発症リスクを最も低くする睡眠時間は、約7時間前後であることがわかっています。それより長い睡眠時間や短い睡眠時間は、これらのリスクを増加させることが示されています。つまり、睡眠時間が過不足なく、適切な範囲であることが、健康維持において非常に重要であるということです。

脳波を用いた厳密な調査によると、40歳から64歳までの成人において、睡眠時間が短くなるほど総死亡率が増加することが確認されています。この世代は特に睡眠不足が顕著であり、十分な睡眠時間を確保することが健康を守るために非常に重要だとされています。

なお、適切な睡眠時間については、以下の記事で詳しくまとめてあるので、そちらも合わせてご覧ください

yalkey Blog 「あなたにとっての適正睡眠時間とは?科学的根拠に基づく最適値を紹介!」

結論

睡眠時間が短いことは、肥満、高血圧、糖尿病、心疾患、脳血管疾患、認知症、うつ病など、さまざまな健康リスクを高めることが分かっています。これらの疾患を予防するためには、適切な睡眠時間が欠かせません。

最適な睡眠時間は個人差がありますが、一般的には7時間前後が推奨されています。睡眠不足は命に関わるリスクを増加させるため、日々の生活の中で睡眠時間を意識し、健康的な生活を心掛けましょう。

参考文献

[1] 健康作りのための睡眠ガイド2023

[2] Itani O, Kaneita Y, Tokiya M, Jike M, Murata A, Nakagome S, Otsuka Y, Ohida T. Short sleep duration, shift work, and actual days taken off work are predictive life-style risk factors for new-onset metabolic syndrome: A seven-year cohort study of 40,000 male workers.SleepMed 39: 87-94, 2017.

[3] Li J, Cao D, Huang Y, Chen Z, Wang R, Dong Q, Wei Q, Liu L. Sleep duration and health outcomes: An umbrella review. Sleep Breath 26: 1479-1501, 2022.

[4] Sabia S, Fayosse A, Dumurgier J, van Hees VT, Paquet C, Sommerlad A, Kivimäki M, Dugravot A, Singh-Manoux A. Association of sleep duration in middle and old age with incidenceof dementia. NatCommun12: 2289, 2021.

[5] Hamazaki Y,Morikawa Y,Nakamura K,Sakurai M,Miura K, Ishizaki M, Kido T,Naruse Y, Suwazono Y, Nakagawa H. The effects of sleep duration on the incidence of cardiovascular events among middle-aged male workers in Japan. Scand J Work, EnvironHealth 37: 411-417, 2011.

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