MENU

タバコと睡眠の関係:ニコチンの影響と健康な睡眠のためのアドバイス

タバコに含まれるニコチンは覚醒作用があり、睡眠にさまざまな悪影響を与えることが知られています。喫煙が睡眠に与える影響は、単に寝つきの問題にとどまらず、睡眠全体の質を低下させる要因となります。

この記事では、厚生労働省が公開している「健康作りのための睡眠ガイド2023」[文献1]を参考に、タバコのニコチンが睡眠に与える影響と、良質な睡眠を得るためのアドバイスについて解説します。

目次

ニコチンが睡眠に与える影響

ニコチンは刺激物質であり、覚醒作用を持っています。そのため、睡眠前に喫煙を行うと、寝つきが悪くなるだけでなく、睡眠の質にも悪影響を及ぼします。[文献2]具体的には、以下のような影響が報告されています:

  • 入眠潜時の延長(寝つきの悪化)
    睡眠前にニコチンを摂取すると、寝つきが遅くなることが多いです。これは、ニコチンが交感神経を刺激し、体を覚醒状態に保ち続けるためです。
  • 中途覚醒の増加
    ニコチンの覚醒作用により、夜中に目が覚める回数が増えることがあります。深い睡眠が減少し、寝ている間に何度も目を覚ますことが睡眠効率を低下させます。
  • 深睡眠の減少
    睡眠の質を左右する深い眠り(ノンレム睡眠)が減少するため、身体の回復や修復が不十分となり、翌朝の疲労感や眠気が強く感じられることがあります。

ニコチンの血中半減期とその影響

ニコチンは血中で約2時間の半減期を持ちます。つまり、夕方に喫煙した場合、その影響は寝る直前まで残っている可能性があります。たとえ寝る直前に喫煙していなくても、体内にはニコチンが残っており、その覚醒作用が睡眠に影響を与えることになります。このため、睡眠を良くするためには、タバコを吸うタイミングも非常に重要となります。

習慣的な喫煙の影響

習慣的にタバコを吸っている人は、非喫煙者と比べて、睡眠に対して深刻な影響を受けることが分かっています。[文献3]具体的には:

  • 入眠困難や中途覚醒の増加
    喫煙者は、タバコを吸っていない人に比べて、寝つきが悪く、夜中に目が覚めることが多くなります。
  • 睡眠時間の減少と深睡眠の減少
    睡眠時間自体が短くなり、深い眠りが減少します。これにより、身体の回復や脳の整理が不十分になり、健康に悪影響を及ぼす可能性があります。
  • 日中の眠気
    睡眠の質が悪化することで、日中の眠気や集中力の低下を感じることが増えます。

習慣的にタバコを吸っている人がタバコを控えると、禁煙による離脱症状として不安や抑うつ、そして不眠などが生じることがあります。[文献4]そのため、喫煙を続けている人は、たばこを吸っていても吸っていなくても睡眠が悪化するという状態に陥る可能性があります。このような悪循環を避けるためには、喫煙を控えることが推奨されます。

加熱式タバコや電子タバコの影響

近年では、紙巻きタバコの他にも加熱式タバコや電子タバコが普及していますが、これらにもニコチンが含まれているため、睡眠に対して同様の影響があると考えられます。ニコチンが睡眠の質を低下させるメカニズムは変わらないため、加熱式タバコや電子タバコを使用している場合でも、睡眠の改善を目指すためには喫煙を控えることが大切です。

受動喫煙の影響

また、受動喫煙も睡眠に悪影響を与えることが知られています。特に妊婦や子どもの睡眠への悪影響は強く、成長や発育に対するリスクもあります。[文献5]そのため、同居している家族やパートナーの健康や睡眠を守るためにも、喫煙を控えることが非常に重要です。

良質な睡眠のためにタバコを控えることが重要

タバコが睡眠に与える悪影響は多岐にわたります。ニコチンの覚醒作用によって寝つきが悪くなり、夜間の覚醒や深い眠りの減少が起こります。これにより、日中の眠気や健康への悪影響も引き起こされるため、良質な睡眠を得るためには喫煙を控えることが最も効果的です。

もし、喫煙による睡眠の問題に悩んでいる場合、禁煙を試みることを強くお勧めします。禁煙は一度にやめるのが難しいこともありますが、少しずつ取り組んでいくことで、睡眠の質が改善され、健康的な生活を送るための第一歩を踏み出すことができます。

まとめ

タバコに含まれるニコチンは、睡眠前に摂取すると寝つきの悪化、中途覚醒、深睡眠の減少を引き起こします。習慣的な喫煙は睡眠の質を大きく低下させ、日中の眠気や集中力の低下を招くこともあります。加熱式タバコや電子タバコでも同様の影響があり、受動喫煙も睡眠に悪影響を与えるため、喫煙は控えるべきです。良い睡眠を得るためには、タバコを吸わない生活を心がけることが重要です。

参考文献

[1] 健康作りのための睡眠ガイド2023

[2]Jaehne A, Loessl B, Bárkai Z, Riemann D, Hornyak M. Effects of nicotine on sleep during consumption, withdrawal and replacement therapy. Sleep Med Rev 13: 363-377, 2009.

[3]da Silva E Silva WC, Costa NL, da Silva Rodrigues D, da Silva ML, da Costa Cunha K. Sleep quality of adult tobacco users: A systematic review of literature and meta-analysis. Sleep Epidemiol 100028, 2022.

[4]Paolini M, De Biasi M. Mechanistic insights into nicotine withdrawal. Biochem Pharmacol 82: 996-1007, 2011.

[5]Safa F, Chaiton M, Mahmud I, Ahmed S, Chu A. The association between exposure to second-hand smoke and sleep disturbances: A systematic review and meta-analysis. Sleep Health 6: 702-714, 2020.

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次